• 2024/7/30
  • 『山本弘のハマリもの』『山本弘のトワイライトTV』『トンデモ本? 違う、SFだ!』『トンデモ本? 違う、SFだ!RETURNS』
     今年3月にご逝去されたSF作家・山本弘先生のエッセイ4冊、電子で復刊しました! 実は電子化のお話自体は1年以上前から進めていたのですが、諸事情あって発売が延びておりました。体調が回復されたならば電子化あとがきなど追記していただきたかったのですが、それも叶わず誠に残念です……。今回は改めてご遺族の了承もいただいての配信スタートとなります。さて、『山本弘のハマリもの』はタイトル通り、著者ご本人がハマっていた趣味丸出しの超個人ネタ爆発といった内容。アニソンだのNHK教育テレビだの食玩だの同人誌だの、ジャンルを問わずありとあらゆる“オモシロいもの”について言及しています。もともとは1997〜1999年頃の雑誌連載記事が元なっていますので今現在の流行とはだいぶかけ離れていますが、当時の世相を味わう上でもぜひ再読したいところです。『山本弘のトワイライトTV』は海外ドラマ、特撮、アニメなどを取り扱ったエンタメ評論集。メジャーどころはなるべく避けて、あえてマイナーな番組を取り上げている、というところが山本弘先生らしいですね。さすがSF作家というべきか、深いSF考証に唸らされます。『トンデモ本? 違う、SFだ!』は山本弘先生が激推しするSF小説評論集。あらすじを紹介しつつ的確なSF考証に納得、時おり炸裂する鋭いツッコミには爆笑です。『〜RETURNS』はその続編でして、こちらは小説からさらに範囲を広げて映画・漫画・ドラマも取り上げております。この2冊は特にオススメ!

    『映画なしでは生きられない』『バッドエンドの誘惑』
     厭世的でどこかオルタナティブ(?)な評論が楽しめる『映画なしでは生きられない』。タイトル通り映画愛にあふれる内容で、映画ファンなら必読の一冊です。さらに!電子版では書き下ろし「女性監督による、子供に複雑な感情を持つ女性の映画――わたしたちはみんな怪物」が追加収録されています。『バッドエンドの誘惑』はジャンルといいますか、結末が「後味の悪い」に絞った映画評論集。そう、皆さんが大好きな『ミスト』(2007年)とかそういうやつです。笑 本の性質上、ストーリー紹介にかなりの分量を割いているため、ネタバレが嫌な人は映画本編を観てからにしてくださいね。なお、こちらにも電子版のボーナストラックとして、書き下ろしの「女性監督たちによるバッドエンド映画名鑑」を追加収録しております。紙版を持っている人も、この原稿のために電子版をダウンロードするのはアリなのでは?

    『警視庁ウラ金担当 会計責任者18年間の「仕事」』
     ここ最近、警察の不祥事(というかモロに犯罪)が多く、うんざりしている人もいるかと思いますが、実は今に始まったことではありません。警察組織が総力をあげてウラ金作り(=税金のネコババ)に励んでいたことが発覚し、大騒ぎになったことがありました。その手口を暴露した一人が、ジャーナリスト大内顕先生です。なにせ警視庁内部で実際に、幹部に命令されて「不正経理をやらされていた人」なのですね。本書では、警察が行ってきたウラ金づくりとその隠蔽工作の実態を、赤裸々に告白しています。ウラ金作りの実態は実に巧妙で、しかも組織的システム、ほぼ全員の職員が関わっているという事実には驚きです。まぁこんなことをやっていたなら、自民党議員の裏金作りを見て見ぬふりをするのも当然ですねぇ。同じ穴のムジナなので。本書の中でも「自浄はまったく期待できない」と断言されていますが、警察組織の体質、ウラ金作りの“伝統”はおそらく今後も変わらず続くのでしょう。

    『雪解けの尾根 JAL123便の墜落事故』
     もうすぐ8月12日がやってきます。世界最悪の航空事故、御巣鷹山で発生した日本航空123便墜落事故から39年です。本書は、あの悲劇的な大事故で夫を亡くされた池田知加恵さんの手記となります。ご遺族が書かれたノンフィクションはいずれも涙なしでは読めないですが、本書は特に評価が高く、オススメです。事故を知った時の様子、待機所でじっと待つ時間、遺体確認や遺品捜索、さらにはJALやマスコミの対応……。掲載写真を含めて非常に貴重な記録。本当に必読です。この機会に是非どうぞ〜。

新刊案内

山本弘のハマリもの

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NEW『山本弘のハマリもの』

山本 弘・著

限りない好奇心と明晰な論理、驚くべき行動力! 趣味全開エッセイ

 スペシウム光線の正体を考えてみたり、教育テレビをじっくり見てみたり、海外からヘンなビデオを買ってみたり、ヒーローショーを見に行ってみたり、パチモン・プラモを組み立ててみたり、改造ドールを自作してみたり、さらにはマニアックな海外ドラマ、特撮戦隊、食玩、UFO……。SF作家・山本弘の頭の中をのぞいてみたら、こんなものが詰まっていました。

第1章 TVの裏を読め!
第2章 ただのTVじゃ飽き足らない!
第3章 TVを飛び出せ3Dの世界!
第4章 マニアの道は無限に

●山本弘(やまもと・ひろし)
作家。元「と学会」会長。日本SF作家クラブ会員。1956年京都府生まれ。1978年『スタンピード!』で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。1987年ゲーム創作集団「グループSNE」に参加。作家、ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年『神は沈黙せず』が第25回日本SF大賞の、また2007年発表の『MM9』が第29回日本SF大賞の候補作となり、2006年の『アイの物語』は第28回吉川英治文学新人賞ほか複数の賞の候補に挙がる。2011年『去年はいい年になるだろう』で第42回星雲賞を受賞。

山本弘のトワイライトTV

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NEW『山本弘のトワイライトTV』

山本 弘・著

ブラウン管を通して学んだ“センス・オブ・ワンダー”のすべて

 SF、ホラー、コメディー、ヒーローアクション、少女向けアニメ……テレビはこんなに驚きに満ちていた! 誰も語ってくれないなら僕が語ってやれ! 幼少の頃から観てきたテレビドラマ、アニメーションの中から、著者独自の視点で“センス・オブ・ワンダー”を感じたものをピックアップし、その魅力を語り尽くす。

第1章 海外ドラマに震えろ
第2章 スーパーヒーローに燃えろ
第3章 オバカなギャグで笑え
第4章 思い出せ、少年の日々を

●山本弘(やまもと・ひろし)
作家。元「と学会」会長。日本SF作家クラブ会員。1956年京都府生まれ。1978年『スタンピード!』で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。1987年ゲーム創作集団「グループSNE」に参加。作家、ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年『神は沈黙せず』が第25回日本SF大賞の、また2007年発表の『MM9』が第29回日本SF大賞の候補作となり、2006年の『アイの物語』は第28回吉川英治文学新人賞ほか複数の賞の候補に挙がる。2011年『去年はいい年になるだろう』で第42回星雲賞を受賞。

トンデモ本? 違う、SFだ!

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NEW『トンデモ本? 違う、SFだ!』

山本 弘・著

SFとは筋の通ったバカ話である! 本当に面白いと思ったSF作品を一挙紹介

 砲弾で人間を月に送る。プロペラ機で火星へ飛行する。世界は昔、平らだった。この世界は誰かの見ている夢である。惑星を蒸気機関で移動させる。自転車は生物である。時間が衝突する。人間の100万倍のスピードで生きる生物。ハングライダーで侵略してくるゾウ。マンハッタン島をまるごと略奪する巨大宇宙船。女子高生の発明が世界を変える……こうしたバカな発想をバカにすることなく、大真面目に語るのがSFの魅力だと思うのだ。(本文より)
 過去に誕生したバカ力に満ちた偉大なSFの数々を一挙紹介。SFを深く愛している人のためのSFガイド。

プロローグ 黎明期
第1部 1930〜40年代
第2部 1950〜60年代
第3部 1970〜80年代
第4部 1990年代〜2000年以降

●山本弘(やまもと・ひろし)
作家。元「と学会」会長。日本SF作家クラブ会員。1956年京都府生まれ。1978年『スタンピード!』で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。1987年ゲーム創作集団「グループSNE」に参加。作家、ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年『神は沈黙せず』が第25回日本SF大賞の、また2007年発表の『MM9』が第29回日本SF大賞の候補作となり、2006年の『アイの物語』は第28回吉川英治文学新人賞ほか複数の賞の候補に挙がる。2011年『去年はいい年になるだろう』で第42回星雲賞を受賞。

トンデモ本? 違う、SFだ!RETURNS

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NEW『トンデモ本? 違う、SFだ!RETURNS』

山本 弘・著

なぜありえないことをそんな一生懸命に描くのか? 面白いからに決まっている!

 宇宙が赤外線の波長よりも小さく縮んでしまう。異次元からの攻撃でボストンが消滅する。滅亡したイギリスをもう一度作る。怪獣の群れが横須賀を襲撃する。ロケットで地球を動かす。第二の月が誕生する。実はこの世界はフィクションだった……ありえないことを「そんなことあるわけない」とバカにするのではなく、「本当にあったらどうなるのか」を前提に、もっともらしい設定を考え、真剣にシミュレートしてみせることで、常識を打ち破り、現実を揺るがせる驚きの感覚――センス・オブ・ワンダーを生み出す。それがSFの魅力だ。(本文より)
 過去に誕生したバカ力に満ちた偉大なSFの数々を一挙紹介。SFを深く愛している人のためのSFガイド、第2弾。

第1章 小説編
第2章 映画編
第3章 マンガ編
第4章 テレビ編

●山本弘(やまもと・ひろし)
作家。元「と学会」会長。日本SF作家クラブ会員。1956年京都府生まれ。1978年『スタンピード!』で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。1987年ゲーム創作集団「グループSNE」に参加。作家、ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年『神は沈黙せず』が第25回日本SF大賞の、また2007年発表の『MM9』が第29回日本SF大賞の候補作となり、2006年の『アイの物語』は第28回吉川英治文学新人賞ほか複数の賞の候補に挙がる。2011年『去年はいい年になるだろう』で第42回星雲賞を受賞。

映画なしでは生きられない

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NEW『映画なしでは生きられない』

真魚八重子・著

この世の現実にくじけそうになっても、映画を観てなんとか死なないで生きてこられた

 映画は、自分がいま死なない代わりに、スクリーンのなかで俳優が代替行為として死に向かう。誰にでも、心の闇は要素としてあるものなのだ。だから、映画はそんな追いつめられた人々をなぞる。そして弱い人間は、死に瀕する精神的な限界に立ち会うことで、生きていたくない気持ちを浄化し、とりあえず明日、もう一本映画を見ようと思う。(本文より)
 電子版には9,000字の書き下ろし原稿「女性監督による、子供に複雑な感情を持つ女性の映画――わたしたちはみんな怪物」を追加収録。

*こんなおばあさんになりたい!/『マッドマックス怒りのデス・ロード』
*文化系女子はなぜサブカル有名人の彼女になりたがるのか/『全身小説家』『ストーリーテリング』『ラブレター』
*私たちの将来が明るいなんて、あの映画は嘘だった/『ロミーとミッシェルの場合』『スケルトン・ツインズ幸せな人生のはじめ方』
*王子様に救われたいし、救いたい!/『マッスルモンク』『名探偵ゴッド・アイ』
*女にもわかる武士道――市川雷蔵と女の親和性/三隅研次の“剣三部作”
*失恋の泥沼で/『アデル、ブルーは熱い色』『傷ついた男』『ベルフラワー』
*憧れの女子寮生活(殺人鬼込み)/『暗闇にベルが鳴る』『象牙色のアイドル』『サスペリア』
*巨匠でいいのか!? ビリー・ワイルダーのいびつなセックス観/『アパートの鍵貸します』『昼下がりの情事』『お熱い夜をあなたに』『ねえ!キスしてよ』
〔ほか全24章〕

●真魚八重子(まな・やえこ)
愛知県出身。映写技師を経て現在は映画評論家。朝日新聞、週刊文春CINEMA、夜リラタイム、ぴあ等を中心に執筆中。著書に『映画系女子がゆく』(青弓社)、『血とエロスはいとこ同士』(Pヴァイン)他。共著に『監督と俳優の美学(日本映画は生きている5)「監督としての勝新太郎論」』(岩波書店) 、『戦う女たち――日本映画の女性アクション』(作品社)他多数。

バッドエンドの誘惑

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NEW『バッドエンドの誘惑』

真魚八重子・著

なぜ人は後味が悪い、厭な映画を観たいと思うのか

 悪意に晒され、失恋に傷つき、人生に絶望するような映画。後味が悪い、救いのない映画。そんな映画に惹かれてしまうのはなぜだろう? 気鋭の映画評論家が挑む、衝撃のバッドエンドムービー評論集。タイミングの悪さ、先の見えない絶望、イヤな女に子供の不幸、そして美しい残酷で彩られた国々の映画。後味の悪い映画を分類し読み解くことで、映画の新しい魅力を導き出す。
 電子版には6,400字の書き下ろし原稿「女性監督たちによるバッドエンド映画名鑑」を追加収録。

第1章 バッドエンドの誘惑
 タイミングが悪い/神は人の上に人を作った/絶望の長さ/侘しさ―/報いなし
第2章 世界イヤ映画紀行
 韓国イヤ映画紀行/メキシコイヤ映画紀行/イギリスイヤ映画紀行/オランダイヤ映画紀行/オーストラリアイヤイヤ映画紀行/デンマーク映画紀行
第3章 女とこども
 バックステージの闇/イヤな女の顛末/ハイミスの悲劇/幼女の嘘で村八分/こどもの受難/死を招く愛/女性監督たちによるバッドエンド映画名鑑

●真魚八重子(まな・やえこ)
愛知県出身。映写技師を経て現在は映画評論家。朝日新聞、週刊文春CINEMA、夜リラタイム、ぴあ等を中心に執筆中。著書に『映画系女子がゆく』(青弓社)、『血とエロスはいとこ同士』(Pヴァイン)他。共著に『監督と俳優の美学(日本映画は生きている5)「監督としての勝新太郎論」』(岩波書店) 、『戦う女たち――日本映画の女性アクション』(作品社)他多数。

警視庁ウラ金担当 会計責任者18年間の「仕事」

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NEW『警視庁ウラ金担当 会計責任者18年間の「仕事」』

大内 顕・著

組織の通常業務として犯罪行為を行っているのは、警察と暴力団ぐらいである!

 書名『警視庁ウラ金担当』とは私のことである。全国の警察組織のいずれにおいてもなぜか類似した手法で行われているウラ金づくりのカラクリの一端を、警視庁事務職員として18年間会計畑を歩んできた私自身の実体験として記していく。(中略)警察が他の官庁と異なるのは、司直のメスが入らないということである。警察のウラ金づくりについても、前述のとおり内部告発やマスコミ報道が時折なされ、国会で取り上げられたこともあるが、それ以上に発展することがないのは、それらの情報を端緒として内偵から摘発に及ぶ機関が警察自身だからである。(本文より)
 公務員はよく「税金泥棒」と皮肉を言われるが、警察は組織を挙げて、文字どおり税金を泥棒している。「捜査費による裏金づくりは警察の全職員が共犯になっている」とまで言われる不正経理の実態とは。さらには内部告発の潰し方、隠蔽工作まで。その驚きの手口を暴露するノンフィクション作品。

序章 暴かれた巨悪
第一章 秘密を墓場に持って行けるか!
第二章 警視庁警備部ウラ金確保プロジェクト
第三章 ウラ金は守られた
第四章 捜査に使われない捜査費
第五章 そして幹部は太る
第六章 「超伏魔殿」警察の土壌
終章 誰が警察を取り締まればいいのか!

●大内顕(おおうち・あきら)
1958年、東京都に生まれる。1982年、中央大学法学部卒業。警視庁職員となり、葛飾区本田警察署の警務課会計厚生係員として2年間勤務。1989年、北沢警察署の会計厚生係長、東大和警察署の同係長を経て、1997年、警備部警備第一課庶務係主任に。2000年、18年間勤めた警視庁を退職し、フリージャーナリストに転身。雑誌の取材、TVコメンテーターや講演活動などで幅広く活躍中。

雪解けの尾根 JAL123便の墜落事故

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NEW『雪解けの尾根 JAL123便の墜落事故』

池田知加恵・著

遺族の立場に甘えない、やさしくも厳しい目で綴った渾身の手記

 どんなに騒がれた大事故でも、時がたつとともに世間から忘れられていきます。しかし、この事故の裏側には、決して忘れてほしくない事実や、人のやさしさがありました。私は、日航機事故のその後を、多くの人に伝えたいと思いました。(本文より)
 雪解けの尾根を登る日航社員、上野村の村民、マスコミの人たちとの交流を重ねるうちに生まれた人間ドラマを、筆者のやさしくも厳しい目とココロが追う。「日本航空123便墜落事故」の遺族が自らペンを取った感動のノンフィクション作品。

第一章 遺族として過ぎた十一年
第二章 日航の社員たち
第三章 墜落現場の上野村と村人たち
第四章 忘れられないマスコミの人たち
第五章 尾根に散らばる遺品
第六章 遺書が取り持った友情
第七章 御巣鷹の尾根管理人

●池田知加恵(いけだ・ちかえ)
東京都生まれ。慶應義塾大学文学部社会学科卒。

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