• 2022/6/14
  • 『枕妄之介 秘剣伏魔城』
     徳川網吉の圧政下、秘剣「水月殺法」と女殺しの色気を武器にした無頼人・枕妄之介。悪の陰謀に挑む勧善懲悪ヒーローものなのですが、なにせこの男、やたらと女にモテる。作中ではやたらとお色気シーンが多いです。笑 チャンバラのアクションシーンも豊富で、覆面の武士、西洋忍者、くの一集団など個性的な敵も登場。細かい時代考証なんて吹っ飛ばして徹底的に楽しめる、エンタメに特化した贅沢仕様。かなりカゲキ!な伝奇時代小説となっています。面白いですよ〜。

    『SF&ファンタジー・ガイド 摩由璃の本棚』
    『指輪物語』『ナルニア国物語』『ゲド戦記』『エルリック・サーガ』『コナン・シリーズ』『クトゥルフ神話』『銀河帝国の興亡』『夏への扉』『エンダーのゲーム』等、、定番のSF&ファンタジー小説を紹介する、ブックガイドの名著。カッチリとした真面目な書評というよりも、その本にまつわるお気楽エッセイ、読了日記のような、ぐぐ〜っと敷居の低い、初心者向けの内容となっています。読み物として面白いので、本好きお姉さんと気軽に語らう気持ちで手にとってみてはいかがでしょうか★

    『箱館異人街』
     幕末の北海道・函館が舞台。白系ロシア人とのハーフである橘丈太郎という男が主人公。治外法権となった異人街を裁きにきた「公儀弾込方(こうぎたまごめかた)」というお役人なんですねー。もちろん弾込方なんてものは本作での架空の役職なのですが、この丈太郎、めちゃくちゃ格好いい! 悪の権力者の陰謀を暴き、刀と拳銃を手に、バッタバッタと敵をなぎ倒します。背が高くて、金目銀目という容姿も、ヒーロー然として素敵です。なお、ノベルス版のタイトルは『妖変!箱館拳銃無宿』だったのですが、著者さんの希望により、電子化にともない『箱館異人街』と変更になっております。

    『真犯人は資本主義だったのか 78億人の目撃者』
     中国関連の著作が多いジャーナリスト・森田靖郎先生の電子オリジナル作品(なーんと完全書き下ろし!)、『真犯人は資本主義だったのか 78億人の目撃者』が配信スタートになりました! コロナ禍、ウクライナ戦争、中国の軍備拡大、日本経済の凋落、と目まぐるしい社会情勢。ここで一度「歴史」を振り返り、我々の歩んできた道は本当に正しかったのか、どこで間違えてきたのかを検証します。歴史を知れば未来がわかる……参議院選挙前に、是非とも読んでほしい、オススメの一冊です。

    『京都 六波羅蜜寺 空也上人写真集』
     重要文化財・空也上人像を撮り下ろした貴重な写真集、その電子版が登場しました! 空也上人とは平安時代の僧侶。疫病・飢饉からの安寧を願い、「南無阿弥陀仏」を唱えて京の町を巡り歩き、念仏を広めたことで知られる……わけですが、むしろ本人のエピソードよりも像のほうが有名では? ほら、開いた口から小さな仏像が6体出ている、アレですよ。その仏像6体や、手に持っている杖など、ぐぐっと寄って撮影された貴重なショットの数々。仏像ファン以外の方にも、是非見ていただきたい写真集です。なお、文章は『世界の中心で、愛をさけぶ』で有名な作家・片山恭一先生が担当。こちらも必見です!

新刊案内

枕妄之介 秘剣伏魔城

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NEW『枕妄之介 秘剣伏魔城』

志茂田景樹・著

覆面の武士、西洋忍者、くの一集団……イスパニア渡来の秘宝を奪い合う暗闘の果ては!?

 徳川網吉の圧政下、江戸元録期。腐敗する幕府の背後で、南蛮渡来の秘宝を巡って蠢く魑魅魍魎たちがいた。大商人・丸銀屋と、異国の騎士を擁する浪人集団・青竜組。それに対し、伏魔殿と化した幕府を探るべく隠密行動をとる若き吉宗。期せずして三つ巴の闘いに巻き込まれた無頼人・枕妄之介は、秘剣「水月殺法」と女殺しの色気を武器に、悪の陰謀に挑む! 長篇時代伝奇小説。

●志茂田景樹(しもだ・かげき)
静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。

SF&ファンタジー・ガイド 摩由璃の本棚

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NEW『SF&ファンタジー・ガイド 摩由璃の本棚』

神月摩由璃・著

ファンタジー世界へ誘う初心者向け読書案内! 名作を全37章にわたって語り尽くす

 剣と魔法とモンスターが登場するのもファンタジーだが、ファンタジーの特徴といえば、「読む人の想像(創造)力を触発するもの」といえよう。本書は、雑誌「日本版ウォーロック」創刊号より掲載されて好評を博したエッセイ風ブックガイド。あらすじや著者の紹介、物語の背景説明にとどまらず、作品から何を受けとり、いかに感じ、何に思いを馳せたかをありのまま自由に書き綴る。『指輪物語』『ナルニア国物語』『ゲド戦記』『エルリック・サーガ』『コナン・シリーズ』『クトゥルフ神話』『銀河帝国の興亡』『夏への扉』『エンダーのゲーム』等、定番のSF&ファンタジー小説を扱う。「電子版あとがき」を追加収録。

●神月摩由璃(こうづき・まゆり)
宮崎県生まれ。明治学院大学文学部フランス文学科卒業。大学在学中に日本版ウォーロック創刊号でブックレビューの連載を始め、それをまとめた『SF&ファンタジー・ガイド 摩由璃の本棚』で1989年にデビュー。創作神話・異世界ファンタジーの先鋭として活躍し、小説『永遠の護り』等で絶賛を浴びる。大病による長いブランクを経て執筆を再開した。

箱館異人街

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NEW『箱館異人街』

朝松 健・著

異人の支配により治外法権となった箱館の町に、規格外の“世直し公儀”が降り立った!

 万延元年初秋、ひとりの男が箱館に上陸した。公儀弾込方・橘丈太郎……ロシア人の父と日本人の母との間に生まれた混血で、白系ロシア人に酷似した面立ちの美丈夫だ。剣は正木一刀流、十手術は心見異形流、拳銃も名手と三拍子そろった凄腕で、五カ国語に精通し、いわば異人相手の世直し屋として箱館奉行所に配属されたのだった。さっそく箱館奉行・村垣淡路守より、箱館一の鋳掛職人、銅屋久五郎とその娘・お恵誘拐事件の探索を命じられる。親子の行方を突き止めた丈太郎は、単身、広東屋敷に乗り込んだが……。
 白系ロシア人との混血で、剣も十手も拳銃も凄腕の公儀弾込方・橘丈太郎が箱館で活躍する、幕末長編アクション。『妖変!箱館拳銃無宿』を改題。

●朝松健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。

真犯人は資本主義だったのか 78億人の目撃者

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NEW『真犯人は資本主義だったのか 78億人の目撃者』

森田靖郎・著

さまざまな格差と分断、コロナ、戦争……文明は人間を幸せにしてきたのだろうか

 政治、経済、社会そして歴史の専門家の間では、資本主義社会の矛盾を衝いた「真犯人は資本主義説」がある。核兵器、原発、地球温暖化、テロ、経済格差、人種差別、コロナ・パンデミック、ウクライナ戦争……。社会主義を葬り去った資本主義が、これらすべての真犯人なのか。
 ぼくら人間は偶然に生まれ、死に方は社会が決める。与えられた自分の持ち時間を何に代えるか、それがその人なりの人生ではないか。人間と文明、どちらが主人でどちらが奴隷かを争った20世紀から脱出したはずなのに……。
 本書では、「真犯人は資本主義説」を検証しながら、人類史上かつてないほど進化した時代“近現代史”を振り返り、何が悪かったのか、どこで間違えたのかを見極め、もういちど「資本主義のアリバイ(存在証明)」を確かめる。

序章 見えた、何が、コロナ後とウクライナ戦争が……
第一章 成長無限都市TOKYO150年史
第二章 資本主義“真犯人説”を追う
第三章 奇跡の中国200年国家改造
第四章 宇宙が戦場になる“前夜”
終章 資本主義のアリバイ「存在証明」
ファイナルアンサー『悠々として、急げ』

●森田靖郎(もりた・やすろう)
作家。1945年、兵庫県出身。文革中に、中国・チベット地区を訪れ、辺境地に下放された都市青年との交流から中国への興味を抱く。その後、シルクロードやロングマーチ(長征)など中国各地への旅を繰り返す。改革開放、天安門事件、香港返還などを常に現場から発信し、中国をフレームにして日本への同時代メッセージを送り続けるルポで定評がある。ノンフィクションを底辺にさらに再構築した小説執筆にも精力的で、ノンフィクションでは表現出来ない中国の暗部を赤裸々に描き出している。『上海セピアモダン』(朝日新聞社)、『中国「犯罪源流を往く」』(講談社)、『悪夢』(光文社)、『地経学で読む爆走中国』(原書房)、『引き裂かれた街〜池袋チャイナタウン・プロジェクト〜』(ナショナル出版)など著書多数。

京都 六波羅蜜寺 空也上人写真集

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NEW『京都 六波羅蜜寺 空也上人写真集』

小平尚典・著

重要文化財「空也上人立像」を希少なアングルと幽玄を感じる階調で表現

 京都六波羅蜜寺所蔵の「空也上人立像」(運慶の四男・康勝の作)。半開きの口から出ている6体の阿弥陀如来が特徴的で、国の重要文化財に指定されている。空也上人とは平安時代の僧侶で、疫病・飢饉からの安寧を願い、「南無阿弥陀仏」を唱えて京の町を巡り歩き、念仏を広めたことで知られる。
 本書は、東洋美術印刷から発売された、高精細印刷写真集の電子版。序文と章解説を『世界の中心で、愛を叫ぶ』など数々の作品を生み出した、作家・片山恭一氏が担当。また、京都六波羅蜜寺山主65世・川崎純性氏が題字揮毫と後書きを寄稿している。千年の時を超えて、空也上人の心が現代に蘇る……。

●小平尚典(こひら・なおのり)
1954年福岡県生まれ。写真家、フォトジャーナリスト。日本大学芸術学部写真学科卒業。欧州を放浪後、エディトリアルカメラマンとして数多くの雑誌で活動。1980年、新潮社「FOCUS」誌専属カメラマンとして創刊に参加。1987年、米国ロサンゼルスに移住。2009年に帰国後は、米国での経験を生かし、メディアプロデューサーとしても活躍。安西水丸氏との共著『彼はメンフィスで生まれた』『アトランタの案山子、アラバマのワニ』の他、『おやさと写心帖』など著書多数。公益社団法人日本写真家協会会員。早稲田大学理工学部非常勤講師。

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