• 2022/5/31
  •  多岐川恭先生の時代小説、計8タイトルが電子で復刊しました! その多くは江戸庶民の喜怒哀楽が描かれた作品なのですが、変わったところでは、幕末に実際に起きた殺人事件を解くミステリ『姉小路卿暗殺』、戦国時代の城攻めを攻守双方の立場から描いた『武田騎兵団玉砕す』などもあります。個人的には『用心棒』がお気に入り。見た目とハッタリだけで、中身はからっきしなニセ用心棒。悪人が跋扈するお江戸の町で、正体がバレて何度もボコられながらしぶとく生きてゆく。まぁホント、よくこんな男を主人公に据えたものです。とても長いお話(普通の文庫3冊ぐらい?)なので読み応えも有り。あとは『お夏太吉捕物控』。スリの名人・お夏ちゃんと十手持ちの太吉、この若者二人の会話劇に注目。いかにも江戸っ子なやりとりが粋でいいんですよねー。連作短篇なので、時代小説初心者にはとっつきやすいかも。まずは本作を手始めに読んで、他の作品へと手を広げていってみてはいかがでしょうか。

新刊案内

姉小路卿暗殺

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NEW『姉小路卿暗殺』

多岐川恭・著

急進尊攘派の公卿が朔平門外で刺客に襲われた! 維新前夜に起きた大事件の謎を追う

 京都で「天誅」と称する要人襲撃事件が相次ぐなか、攘夷派の重要人物・姉小路公知が暗殺された。現場に残されていた刀などの物証から、薩摩藩の田中新兵衛が捕らえられたが、彼は取調べ中に自殺してしまった。だが、人斬り新兵衛とまで言われた男の仕業にしては、あまりにお粗末だ。京都東町奉行の義兄の家に居候していた浪人・関要次郎は、事件の幕引きに不審を抱き、持ち前の正義感と好奇心に身を任せて事件を捜査する。果たして本当の下手人は誰なのか、暗殺を計画した組織は?
 明治維新の一つの謎に独特の手法で挑む、快心の時代推理小説。

●多岐川恭(たきがわ・きょう)
1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。

用心棒

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NEW『用心棒』

多岐川恭・著

悪人だらけの江戸の町でしぶとく生きる、見掛け倒しの男の生き様

 荒川戸田の渡し近く、簀巻きにされた浪人風の男が助けられた。名は泥助(どろすけ)。男は助けられた縁で、上野池の端の安房屋に身を寄せる。用心棒稼業ながら、剣の腕はからっきし。昼間から酒をくらってぶらぶらし、女にだけはやたら手が早い。全くの役立たずにみえる泥助の正体は何者か。色と欲が渦巻く、江戸の闇の世界を舞台に、過去も未来も捨てた男の生き様を鮮やかに描く長篇時代小説。

●多岐川恭(たきがわ・きょう)
1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。

武田騎兵団玉砕す

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NEW『武田騎兵団玉砕す』

多岐川恭・著

勇猛果敢か? 軽挙妄動か? 信玄の跡を嗣いだ武田勝頼の決断は……

 信玄の跡を継いだ武田勝頼は焦っていた。重臣たちに、父と比較され軽んじられていることに腹を立てていた。そして信玄の遺言である「三年は死んだことを伏せ、守りに徹しよ」に背き、奥平貞昌が守る長篠城を攻めた。だが落城寸前、織田・徳川連合軍が押し寄せてくる。勝頼は討って出るが、予想をはるかに超える三千の鉄砲を前に苦戦。全国の武将に恐れられた武田騎兵団の運命は……。
 天正三年(一五七五年)の「長篠の合戦」を舞台に、武田勝頼、奥平貞信、徳川家康、織田信長、鳥居強右衛門など各人の思惑をつぶさに描く。

●多岐川恭(たきがわ・きょう)
1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。

お夏太吉捕物控

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NEW『お夏太吉捕物控』

多岐川恭・著

掏摸名人のお夏、駈け出し岡っ引の太吉……恋と事件の花吹雪十幕

 お夏は花もはじらう十八の掏摸名人。幼馴染みの太吉あにいは、駈け出しの岡っ引だ。ある日、現場を押えた太吉は、お夏にひょんな交換条件を出した。赤犬を使う女掏摸から、さる大店の蔵の鍵を取り戻せば、見逃すというのだ。やがて鍵も戻り、事はすんなり収まるかに見えたが、当の女掏摸が殺されてしまう。事件は複雑に意外にこみいっていくうちに、お夏と太吉の二人は……。連作短篇時代小説。

*太吉売り出す
*突き当った男
*お夏の恋心
*飼われた男
*二人で芝居を
*太吉冬ごもり
*花かんざし
*昔の仲間
*田舎の親爺
*いつか見た顔

●多岐川恭(たきがわ・きょう)
1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。

暗闇草紙

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NEW『暗闇草紙』

多岐川恭・著

私利私欲のため嘘の証言を重ねる関係者……だがついに観音像の役割が明かされる!

 湯島妻恋町の裏通り。明け方から夕暮れまで日が差さず、お先真っ暗な連中が肩寄せ住まう、人呼んで「暗闇小路」。その小路に引っ越してきた、いかにもわけありの娘・お春が押し込み強盗に襲われ、伝家の観音像を奪われた。手習いの師匠で糊口する浪人者・島小平は、思うところあって、お春の窮状に手を貸す。観音像は誰の手に渡ったのか、また像に隠された秘密とは? 波瀾万丈の娯楽時代小説。

●多岐川恭(たきがわ・きょう)
1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。

追われて中仙道

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NEW『追われて中仙道』

多岐川恭・著

すねに傷を持つ男と女、行きがかりで道連れになった逃避行の結末は

 夏の中仙道、上州路。ひょんなことから道連れになった男と女。片や行きがかりで主を殺して金を奪った新助こと鉢谷幸次郎。片や囲われていた旦那を殺し、男に化けて江戸を立った島五郎ことお島。どちらもすねに傷持つ逃避行。迫る追手や地回りに雲助、群がる悪党を右に左に斬り捌き、京を目指してひた走る。明日をも知れぬ二人がたどり着くのは極楽か、はたまた地獄か……。長篇時代小説。

●多岐川恭(たきがわ・きょう)
1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。

江戸の一夜

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NEW『江戸の一夜』

多岐川恭・著

ある者は妖艶な色香に迷い身をくずし、またある者は悪の罠に落ちて苦悩する

 江戸勤番になった実直な侍が出会った妖艶な女。まんまと財布をすられながらも何となく憎からず思っていた。偶然か罠か、侍は逢瀬に誘われるが……。「江戸は怖い所だから、お気をつけになるんですね」生き馬の目を抜く大都市でたくましく生きる女と、武骨な侍の妖しくも爽やかな交歓を描く表題作など、十六編。江戸の街を舞台に、色と欲に狂奔する人々の姿を活写した時代小説短編集。

*江戸の一夜
*出戻りぐせ
*ペテン師たち
*笑くぼの女
*淪落
*不義の部屋
*ある御落胤
*隣りも妾宅
*みれん
*渡し場
*酔眼の友
*夜逃げ家老
*権八伊右衛門
*欺し欺され
*夫の首
*蛇

●多岐川恭(たきがわ・きょう)
1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。

江戸の敵

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NEW『江戸の敵』

多岐川恭・著

江戸から長崎に流れ着いた一組の男女、二人にはそれぞれ思惑があった

 ならず者の銀平は、山谷の茶屋女・お紋のヒモである。美人局で江戸を荒し回った挙げ句、長崎行きを思い立った。母親と自分を捨て、長崎で海産物問屋を営む父親を強請ろうというのだ。一方、お紋にも当てがないわけではなかった。馴染みだった役人が確か長崎に行っているはずだ……。ニヒルな二人の腐れ縁を描く表題作など、十一編。市井に生きる男女の愛欲を推理短編の手法で活写する時代小説短編集。

*餌屋の客人
*忘れていた女
*雨宿り
*おびき出し
*岡っ引無頼
*寝ものがたり
*生き返った男
*身がわり
*江戸の敵
*三河屋
*斬また斬

●多岐川恭(たきがわ・きょう)
1920年福岡県生まれ。東大経済学部卒。戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。1953年『みかん山』で作家デビュー。『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞。以降、推理小説と共に時代小説も旺盛に執筆した。

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