• 2022/5/24
  • 『蒼いレクイエム』
     学園オカルトホラーの傑作、『蒼いレクイエム』が電子で復刊しました! 強力な超能力を使って「いじめっ子」を次々に血祭りに上げていく「いじめられっ子」、そしてその哀しい復讐劇を止めようとする一人の少女……。スニーカー文庫から刊行された初版は1990年なのですが、本作における「いじめ」という重い社会派テーマは、令和になっても十分通じる、どころか問題の本質は全く変わっていないように思います。中高生はもちろん、大人が読んでもいろいろ考えされることの多い作品です。

    『海鳥の墓標』
     両親に先立たれ、病身の弟をかかえる朝吹沙枝子。やっとのことで宝石店に就職するが、ある日、店から消えたダイヤの指環が彼女のコートから見つかり、正体不明の女から脅迫電話がかかってくる。女の意のままに操られるうちに、思いがけず人を殺めてしまい……。本作の主人公・沙枝子はやたらとツイてないんです。不幸に耐え忍ぶ毎日。ところが実は不幸の多くは仕掛けられたものでして、その“罠”を執念で一つひとつ暴いていく過程がすごい。かなりボリュームのある長篇サスペンスですが、日下圭介先生の数ある作品の中でも屈指の出来だと思います。オススメ!

    『賢者の陰謀 バイク記者事件メモ』
     オートバイに乗ってぶらぶら遊び暮らしている峻という地方新聞記者が主人公。あまり仕事熱心ではない彼が、それでも数々の事件に関わり、真相をあきらかにしていきます。全4話で構成された連作短篇集でして、日下圭介先生らしい軽妙な会話劇と、鮮やかな殺人トリックが描かれています。

    『愛されてもひとり』
     夫の定年を機に安曇野で田舎暮らしをしていた中井絹子。しかし突如、夫が脳梗塞で急逝してしまう。60代一人暮らし、二人いる息子、その嫁、ご近所づきあい……女性の生き方を見つめ直し、その葛藤の日々を描いた作品です。読了後にタイトルにじんわりくる、とてもいい作品なんですよね〜。

    『記録魔』
     ドラマの記録係として活躍する田所有記は、見知らぬ女から「復讐殺人の一部始終を記録してほしい」と頼まれる。娘の命を脅かされ、協力を決意する有記。しかし、次第にリアルな殺人計画を記録することに引き込まれていく……。ページを繰る手が止まらない、最後までハラハラドキドキのサスペンス小説です。

新刊案内

蒼いレクイエム

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NEW『蒼いレクイエム』

六道 慧・著

学校内で起きた“いじめ”……その復讐の炎は“闇の兇獣”を生んだ!

 高校一年の藤枝果林は、入学後まもなく電車の転覆事故に遭い、入院する。その事故で死亡したのは果林の隣席にいて脱線直前小さな白木の箱を手に「おれが死んでいる」と絶叫していた中年男ひとりだけだった。一週間ぶりに登校した果林は、クラス内でドジ松こと松井守があいかわらずいじめにあっているのに同情するが、その翌日、いじめグループの男子生徒が奇怪な事故で急死する。しかも、その生徒のもとには、転覆事故で死んだ男が手にしていたのと同じ白木の箱が送られていたのだった……。
 いじめが生んだ恐怖と悲しみを描く、学園オカルトホラーの傑作。電子版あとがきを追加収録。

●六道 慧(りくどう・けい)
東京の下町・本所生まれ。今も長兄が実家で小さな小さな町工場を営んでいる。1988年、朝日ソノラマから『大神伝(1) ムーの大神』でデビュー。以来、ライトノベル、時代物、そして警察小説とジャンルを変えながら挑戦してきた。「継続は力なり」が信条。

海鳥の墓標

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NEW『海鳥の墓標』

日下圭介・著

次々と襲いくる不可解な事件……謎を解く鍵はウミネコが乱舞する日本海の離島にある!?

 両親に先立たれ、病身の弟をかかえる朝吹沙枝子は、偶然知りあった女性の好意で、東京・青山の宝石店に就職した。だがある日、店から消えたダイヤの指環が沙枝子のコートのポケットから見つかり、正体不明の女から脅迫電話がかかってきた。身に覚えのない“証拠写真”を持っているという。不運の身を嘆く沙枝子だったが、さらに恐るべき罠が彼女を待ちうけていた。女の意のままに操られるうちに、思いがけず人を殺めてしまい……。長篇サンペンス・ミステリ。

●日下圭介(くさか・けいすけ)
1940年和歌山県生まれ。早稲田大学第一商学部卒。1965年朝日新聞社に入社。1975年『蝶たちは今…』で第21回江戸川乱歩賞を受賞。1982年『鶯を呼ぶ少年』『木に登る犬』で日本推理作家協会賞・短編賞を受賞。その後作家活動に専念し、『黄金機関車を狙え』などの近代史ミステリーで新境地を開く。

賢者の陰謀 バイク記者事件メモ

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NEW『賢者の陰謀 バイク記者事件メモ』

日下圭介・著

走るバスから老人が消えた!? 地方記者が耳にした怪事件の真相とは

 東北でローカル紙の駐在記者となって五年、夜毎、利恵ママのスナックに通う峻(しゅん)のもとに、奇妙な話がもちこまれた。老人グループのバス旅行で、走行中のバスの中から一人の老人が失踪、誰も出入りしなかったのは添乗員が確認しているという。しかも消えた老人は、先に帰宅していた、と。中古オートバイを駆って謎の究明に乗り出した峻だったが、そのバス旅行には次々と疑惑が……。連作ミステリ四篇を収録。

*賢者の陰謀
*UFOの来た夜
*雪の底から子守唄
*元気な死者

●日下圭介(くさか・けいすけ)
1940年和歌山県生まれ。早稲田大学第一商学部卒。1965年朝日新聞社に入社。1975年『蝶たちは今…』で第21回江戸川乱歩賞を受賞。1982年『鶯を呼ぶ少年』『木に登る犬』で日本推理作家協会賞・短編賞を受賞。その後作家活動に専念し、『黄金機関車を狙え』などの近代史ミステリーで新境地を開く。

愛されてもひとり

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NEW『愛されてもひとり』

新津きよみ・著

夫婦、嫁姑、そしてかつての恋人……自身の生き方を見つめ直す三人の女性

 夫の定年を機に安曇野で田舎暮らしをしていた中井絹子を不幸が襲った。夫が脳梗塞で急逝したのだ。息子夫妻から上京を促されるも、キャリアウーマンの嫁・由梨と相性のあわない絹子は、一人自活を続ける決心をする。やがて、友人である美千代の息子の妻・里美が、絹子の面倒を見るようになった。だが、貞淑な里美にも嫁姑の確執があり……。20代、40代、60代、三世代の女性の愛と悩みを描く長編サスペンス。

●新津きよみ(にいつ・きよみ)
1957年、長野県生まれ。青山学院大学卒。旅行会社、商社のOLを経て、88年に作家デビュー。『妻の罪状』(実業之日本社文庫)、『ただいまつもとの事件簿』(光文社文庫)、『二年半待て』(2018年徳間文庫大賞受賞作)など著書多数。『正当防衛』『匿名容疑者』『生死不明』『トライアングル』はテレビドラマ化、『ふたたびの加奈子』は『桜、ふたたびの加奈子』として映画化された。

記録魔

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NEW『記録魔』

新津きよみ・著

「あの男を殺すまでを記録してほしい」殺人計画に巻き込まれた記録係が捉えた真実

 あの事件を風化させたくない。兄を殺したあいつを殺すことで、事件を再び人々の記憶に刻むのだ……。ドラマの記録係(スクリプター)として活躍する田所有記は、見知らぬ女から「復讐殺人の一部始終を記録してほしい」と頼まれる。娘の命を脅かされ、協力を決意する有記。しかし、次第にリアルな殺人計画を記録することに引き込まれていく。そして起きた殺人の驚くべき真実とは!? 長編サスペンス。

●新津きよみ(にいつ・きよみ)
1957年、長野県生まれ。青山学院大学卒。旅行会社、商社のOLを経て、88年に作家デビュー。『妻の罪状』(実業之日本社文庫)、『ただいまつもとの事件簿』(光文社文庫)、『二年半待て』(2018年徳間文庫大賞受賞作)など著書多数。『正当防衛』『匿名容疑者』『生死不明』『トライアングル』はテレビドラマ化、『ふたたびの加奈子』は『桜、ふたたびの加奈子』として映画化された。

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