• 2021/6/1
  • 『オルフェウスのダンジョン』
     ミステリ・ファンの皆様、注目! 石井敏弘先生の新作『オルフェウスのダンジョン』が電子オリジナルで配信スタートになりました〜。本書には4編の物語が収録されています。元々は地域活性を目的とした旅行イベントの一環として書かれた作品でして、小冊子に掲載された本編を読み、観光名所をめぐりながら犯人を推理して郵送で解答を送る、という企画。今回の電子化に際しては、内容を大幅に加筆修正、小説として完成させるために“解”のエピソードも新たに書き下ろしていただいております。4つの作品とも、本当に素晴らしい出来です。オススメ!

    『沈みゆく調べ』
     不能の作曲家、湖畔の邸宅、若いメイド、かつて天才と呼ばれた老女のヴァイオリニスト……美しい文章で定評のある作家さんですが、本作に関しては「こ、これは官能小説!?」というくらい、実にエロイです。いやぁ、ホントにエロイわー。汗 でも、エロイだけでなく非常に美しい小説です。クラシック音楽に関する造詣の深さはさすが。この上品な雰囲気が、本作をより一層趣ある内容にしているのですね〜。本作のファンに女性が多いというのも納得です。

    『森からの使者』
     太平洋戦争前の激動の時代、東北の山の中で昔ながらの暮らしを守るマタギ衆の物語。主人公の少年は、「平民宰相」と呼ばれた原敬の護衛役として、裏からも日本の政治に関わります。スケールの大きな時代小説。

    『辛口のカクテルを』
    『テニス、そして殺人者のタンゴ』で作家デビューする前に書かれた短篇小説をメインに構成された作品集です。青春小説あり、ハードボイルドあり、恋愛小説ありのバラエティに富んだ内容。初期の作品ということもあって、文章に若さが見えるのがファンには嬉しいですね。

新刊案内

オルフェウスのダンジョン

amazon Kindle

NEW『オルフェウスのダンジョン』

石井敏弘・著

乱歩賞作家が仕掛ける4つの本格推理! 作中に散りばめられた手掛かりから真犯人を特定せよ

 殺された当日、沢渡自身が吹き込んでいたボイスレコーダーの内容……。それによって少なくとも足取りはわかるだろうし、もしかすると沢渡が吹き込んだ内容の中に、事件解決の糸口があるかもしれない。沢渡が最後に回った地下街は、全部で六ヵ所。梅田の『ホワイティうめだ』、京橋の『コムズガーデン』、難波の『なんばウォーク』と『NAMBAなんなん』、天王寺の『あべちか』、そして堂島の『ドージマ地下センター(ドーチカ)』である。たぶん沢渡の頭の中では何らかの必然性があって、最終的な取材をこの六ヵ所に絞ったものと思われる。(「オルフェウスのダンジョン」より)
 大阪府下の地下街を舞台にした表題作の他、福井県の越前海岸を舞台にした「Murder in memory」、三重県名張市を舞台にした「うつし世は悪夢」、京都府の丹後半島を舞台にした「そして天女は舞い降りた」の中篇ミステリ4本を収録。電子オリジナル作品。

*Murder in memory
*オルフェウスのダンジョン
*うつし世は悪夢
*そして天女は舞い降りた

●石井敏弘(いしい・としひろ)
1962年、岡山県倉敷市生まれ。岡山商科大学卒業。1987年、第33回江戸川乱歩賞を『風のターン・ロード』で受賞。ミステリー・イベント用原作小説の書き下ろし他、現在は脚本家としても活動。

沈みゆく調べ

amazon Kindle

NEW『沈みゆく調べ』

斎藤 純・著

官能は肉体のためでなく音楽のためにある……めくるめく幻想のエロティシズム

 私の指の動きに応じて、由里の声は、ヴァイオリンの弦を巻きあげていくときのように高まっていく。テンションが最も高まったときに由里は万歳をするように両腕を伸ばした。それまで私の舌を許さなかった腋窩を舐めあげる。酸っぱかった。由里はひときわ高い声を上げて下肢を痙攣させた。(本文より)
 作曲家・笹野が湖畔の古びた屋敷で体験する、幻惑のような官能の日々。「わたくしのために、わたくしだけのヴァイオリン・コンチェルトを作曲してほしいのです……由里もあなたの役に立つでしょう」そう言って笹野を招いた屋敷の主、老女性ヴァイオリニストの目論見とは? 長篇官能ロマン。

●斎藤純(さいとう・じゅん)
小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。

森からの使者

amazon Kindle

NEW『森からの使者』

斎藤 純・著

マタギの流儀を頑なに守りつつ、激変する近代日本で逞しく生き抜く少年

 目を開くと、桟敷を埋め尽くした人々がササの藪に見えた。立っているものはブナやミズナラの木に見えた。人々の頭が動けば、それは風に揺れるササのように見えた。人いきれと蒸し暑さも気にならなくなった。「さあて、イタズはどこに潜んでいるかな」伊一は余裕のある呟きを洩らした。イタズとはツキノワグマのことだ。(本文より)
 風雲急を告げる政治情勢の中で、平民宰相・原敬の手足として動いた影の男。最後のニホンオオカミとの交情を通じて、自然の掟に従い、激動の時代を駆け抜けた少年の成長物語。

●斎藤純(さいとう・じゅん)
小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。

辛口のカクテルを

amazon Kindle

NEW『辛口のカクテルを』

斎藤 純・著

グラスを傾けながら優しい男たちと女たちのせつない物語を綴る

 ぼくが言ったことのほとんどは、酒の肴に小説や詩を読むという文学少女、亜矢子の受け売りだ。「ふうん」彼女は頷き、それから言った。「意味のあることは、もう書き尽くされてしまったんでしょうね。今の作家はたいへんだわ」そうか。なんてこった。これが答えかもしれない。答えは風に舞っていると言ったのは誰だ。もしそうならば彼女は風だ。(「水曜日の詩人たち」より)
 著者の原点ともいうべき青春ハードボイルド短篇小説集。

*見えない標的
*辛口のカクテルを
*水曜日の詩人たち
*詩人たちの喧噪
*乾杯を小さな声で
*月時計の夜

●斎藤純(さいとう・じゅん)
小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。

Copyright c ADRENALIZE All Rights reserved.