• 2019/10/4
  • 『手にとるように物理学がわかる本』
     数多くの架空戦記やSF小説を書かれている青山智樹先生、実は物理教師でもいらっしゃいます。戦艦大和を空に飛ばしたり地上を走らせたり異世界へ投げ込んだりするあのビックリ設定の裏には、緻密に計算しつくされた物理学の知識が!……かどうかはわからないですが、本書は歴とした物理学の解説書。物理学ってすごく難しそうなイメージがありますが、意外とそうでもないかも? 本書ではぐっと優しく噛み砕いて解説されています。慣性の法則、運動方程式、ドップラー効果、半導体、電子レンジの仕組み、原子力発電の仕組みなど、雑学教養本として一般の人でもすんなり読み進めることができます。

    『黒のコサージュ』
     連作短篇という形式を取っているこの作品、旧車好きにはたまらない内容でしょうねー。サーブ96V4、カルマン・ギア、マセラティ・ビトゥルポ、ファセル・ヴェガ・エクセレンス、ジャガー・マーク2といった幻の名車と、それにまつわる人々のお話が紡がれます。一応、話の筋としては、病で倒れたカーディーラーの社長から「かつて販売した名車の行方を追え」という命を受けて、若い営業が日本のあちこちを訪ねていく、というもの。それぞれのお話が人情味あふれていて実にいいのです。クルマ好きなら是非読んでいただきたい一冊です。

    『ダガー 虚幻の刃』
     ナチス・ドイツの遺品に埋もれていた短剣と、その魔力に惑わされて人生が狂ってしまう人々を描いた作品。斎藤純先生には珍しく、怪奇・ホラー要素のある内容です。いつものハードボイルドな表現から少し距離を置いて、バイオレンス描写も出てきます。

    『百万ドルの幻聴(メロディ)』
     一筋縄ではいかないレコード会社、ラジオ局、広告代理店といったギョーカイの連中とやりとりしながら、一人の新人女性ディレクターが、天才的な歌声を持つ黒人少年をデビューさせようと奮闘するお話。音楽業界を舞台にしたサスペンスってあまりないのではないでしょうか。特に最後、舞台を海外に移して“黒幕”の陰謀を暴くシーンとか、ハラハラドキドキ、最後まで一気に読んでしまいます。かなり分量のある長篇作品なのですが、たっぷりと楽しめます。

    『医者の本棚、作家の本棚』
     医師であり作家である石黒達昌先生の作品集、なーんと電子オリジナルで登場です! 昨年、『診察室』『検査室』『待合室』の3冊を発売しましたが、「実はまだ単行本にまとめられていない原稿があるんですよね」とお声掛けいただき、調べに調べ尽くした結果、この1冊にまとめることができました。第1章「医者の本棚」は医者の視点で選んだ本、第2章「作家の本棚」は作家の視点で選んだ本、というテーマで書評を集めました。その他、エッセイや評論、文庫解説などを収録。国会図書館に所蔵されていない雑誌からの転載もあるので、かなりレアな原稿もあります。小説作品は含まれてはいないものの、「石黒達昌の文章なら何でもいいから読みたい!」という熱烈なファン(私もそうですが)なら満足できる内容になっているのではないかと思います。この機会に是非!読んでみてください〜。

新刊案内

手にとるように物理学がわかる本

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NEW『手にとるように物理学がわかる本』

青山智樹・著

「慣性の法則」「運動方程式」「ドップラー効果」「半導体」……体系的に整理して理解する一冊

 高校で物理学を習った方は少なくないでしょう。ですが、実際に何を習ったか、なんのために勉強したかを覚えている方はごくわずかではないかと思います。
 そこで本書ではまず第一に「高校物理で何をやったか」を説明することを第一に考えました。
 また、物理理解のためには数式が欠かせないのですが、これもばっさりと減らしました。重箱の隅をつつくような作業よりも、物理学の本質がなにかを楽しんで頂くためです。そのため、大人達たけではなく現在、高校物理に接している高校生、あるいは将来、高校物理に接するであろう中学生でも理解できる内容になっています。

はじめに 科学ってなに?
プロローグ 物理とはなに?
第1章 力と運動
第2章 エネルギー
第3章 波動
第4章 電気
第5章 原子
結び

●青山智樹(あおやま・ともき)
1960年、東京都武蔵野市生まれ。学生の頃より同人誌『宇宙塵』に参加。東海大学理学部物理学科卒業後、高等学校に理科教師として勤務。1992年、長編SF『赤き戦火の惑星』(勁文社)で商業デビュー。『合体戦艦「富士山」出撃!』(有楽出版社)、『蒼穹の海鷲』(アスキー)等、シミュレーション戦記を中心に執筆する。その他にも『零戦の操縦』(アスペクト)、『自分でつくるうまい!海軍めし』(経済界)、『世界一わかりやすい放射能の本当の話』(宝島社)等、ミリタリー関連書籍など著書・共著多数。

黒のコサージュ

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NEW『黒のコサージュ』

斎藤 純・著

愛と悲しみを車に託す、鮮烈なハードボイルド世界

 身近に迫る死を個人病院のベッドで冷静に待つ相田。相田は、その経営手腕で商売を広げ、一代で財を成した。すでにほとんどの商売を整理していたが、半ば趣味でやっていた相田モータースにひとりの社員を残した。その彼が最後に命じられたのは、「相田モータースで販売した名車の行方を追え」というものだった。サーブ96V4、カルマン・ギア、マセラティ・ビトゥルポ、ファセル・ヴェガ・エクセレンス、ジャガー・マーク2……。幻の名車の陰に、見え隠れするのはひとりの女。死を目前にした相田の真の願いはなにか? 男はシトロエン2CVを疾走させる。ハードボイルド長編小説。

●斎藤純(さいとう・じゅん)
小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。

ダガー 虚幻の刃

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NEW『ダガー 虚幻の刃』

斎藤 純・著

短剣の刃に魅了された者は、心に潜む欲望をさらけ出し、己の運命を狂わせていく

 ナチス・ドイツの遺品に埋もれていた短剣。700年前に祖国ドイツのために決起した騎士団の英雄が帯びていたというが、現在は刃が黒いタールのようなもので覆われていた。その短剣に魅了された者が持つと、黒いタールが剥がれ落ち、霊力を持つ刃が姿をあらわし、悪魔の道具と化す。次々と繰り返される殺人事件。一本の短剣が放つ暴力的な匂いに魅了された人々のたどる結末は……。人間の心に潜む欲望を描く、連作短篇サスペンス。

●斎藤純(さいとう・じゅん)
小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。

百万ドルの幻聴(メロディ)

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NEW『百万ドルの幻聴(メロディ)』

斎藤 純・著

スラム街の小さな広場、そこにいた黒人少年の歌声が流れたとたんに空気が変わった

 そのフレーズを耳にした瞬間、誰もが息をのんだ。リオデジャネイロのスラム街で撮影されたテレビ番組で、偶然映り込んだ黒人少年ルーシオ。その奇跡の歌声を、カメラが捉えていたのだ。レコード会社、ラジオ局、広告代理店……新人女性ディレクターは、歴戦の音の狩人たちと闘いつつ、少年のデビューに向けて動く。だが、ルーシオは忽然と足跡を絶った。次第に明らかになる音楽業界の闇。F1のエンジン音かまびすしいモナコでのラストまで、息つく暇なく読ませてくれる驚異の音楽サスペンス。

●斎藤純(さいとう・じゅん)
小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。

医者の本棚、作家の本棚

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NEW『医者の本棚、作家の本棚』

石黒達昌・著

多彩な執筆は多彩な書物を糧にして生まれる……作家・石黒達昌による書評、エッセイ、評論集

 最近私は写真やシェーマ(図表)を取り入れたノンフィクション風の小説を発表し、大江健三郎氏によって「電子ブック」への可能性を開くものという評価をいただきました。写真もその一つですが、文字以外の媒体とのリンクが可能になるというのはコンピュータを使用する大きなメリットの一つです。(「はたして『新しい』文学は存在するのか?」より)
 作家・石黒達昌はいかにして作家になりえたのか。医者の視点で選んだ本、作家の視点で選んだ本……自著についても語る。書評を中心にエッセイや評論、文庫解説などを収録した、電子オリジナルの作品集。

第一章 医者の本棚
第二章 作家の本棚
第三章 文庫解説
第四章 随筆、あるいは自著を語る

●石黒達昌(いしぐろ・たつあき)
作家、医師。1961年北海道生まれ。東京大学医学部卒業。「最終上映」で第8回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。純文学誌を中心に数多くの中短篇を発表する。「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」「真夜中の方へ」「目を閉じるまでの短かい間」で三度の芥川龍之介賞候補になる。また、「人喰い病」「希望ホヤ」で星雲賞日本短篇部門参考候補になるなど、SFファンからの支持も厚い。

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