• 2016/11/22
  •  ミステリの名手・日下圭介先生の5タイトルが電子で復刊しました!
     江戸川乱歩賞作品である『蝶たちは今…』、コミックにも2時間ドラマにもなったこの名作が、ずうっと長い間絶版だったんですよね。びっくりです。飛騨に旅した康夫と拓也のさえない二人組。ところが康夫が間違えたバッグの中から、女から男に当てた手紙がでてきた。しかしその差出人を訪ねると二人ともすでに死んでいた、という冒頭シーンから始まります。話の展開が早くて読みやすいですし、丁寧に伏線が張り巡らせてあって、ミステリの教科書的な作品。日下作品を未読の方は、まずはコレから読むべきでしょうか。
     さて、その『蝶たちは今…』のクオリティを実は超えてるんじゃないかと思うのが、『血の色の花々の伝説』。殺人計画と偶発的な事故が結びついて、不可解極まる殺人が続発。序盤に出てくる「サクラソウ」という花が、ストーリーの最後でどのように関わるのか…、いやー緻密に練り上げられたすごい名作です。かなりの大作なのですが(たぶん文庫2冊分の長さはあると思います)、展開が気になって気になって、最後まで読み進んじゃいますね。
     昭和初期の日本を舞台とした『黄金機関車を狙え』もかなり長いお話。個人的に大好きな作品でして、是非たくさんの方に読んでほしいです。走り続ける、金塊を積んだ汽車! その汽車を狙う窃盗団と、罠を張る鉄道警察のせめぎ合い! いやー、やっぱサスペンスの超名作だわ、コレ。どちらの陣営も魅力的な人物が多くて感情移入しちゃうんですよね。映画『新幹線大爆破』を観ていて、高倉健も宇津井健も両方応援してしまう、みたいな。
     もう一つ、昭和初期の歴史ミステリが『神がみの戦場』。太平洋戦争前夜の陸軍で密かに進められる、中華民国紙幣の贋札製造計画。ある殺人事件を契機に、陸軍の動きに不審を覚えた警視庁のベテラン刑事は…。スケールの大きいミステリ・サスペンス作品です。
     日下圭介先生は短編ミステリも得意でして、特に短編集『花の復讐』に納められた作品は秀作ぞろい。花、鳥、虫など自然のものが殺人事件と関わりを持つお話が多いです。収録作「蜂と手まり」は日本推理作家協会賞短編部門の候補作になっていますね。

新刊案内

蝶たちは今…

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NEW『蝶たちは今…』

日下圭介・著

第21回江戸川乱歩賞受賞作品

 旅先で間違えた他人のバッグから出てきた一通の手紙。それは女から男にあてたものだった。バッグを返すべく、手紙の差出人を訪ねてみると、意外にもその女性は三年前に死んでいた。しかも受取人まで故人! 死者同士で交わされた手紙の謎の背後には、忌まわしい出来事が…。

●日下圭介(くさか・けいすけ)
1940年和歌山県生まれ。早稲田大学第一商学部卒。1965年朝日新聞社に入社。1975年『蝶たちは今…』で第21回江戸川乱歩賞を受賞。1982年『鶯を呼ぶ少年』『木に登る犬』で日本推理作家協会賞・短編賞を受賞。その後作家活動に専念し、『黄金機関車を狙え』などの近代史ミステリーで新境地を開く。

血の色の花々の伝説

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NEW『血の色の花々の伝説』

日下圭介・著

殺人トリックが次の殺人トリックを招く……そして恐るべき負の連鎖の果てには?

 情事のもつれの果てに生じたガス爆発が多くの人の死を招いた。その事故は偶然か故意か? そして十数年、生き残った関係者の間に、不可解極まる殺人が続発。一連の事件を解く鍵は、珍種のサクラソウという。愛憎渦まく数奇な人生を背景に、謎が謎を呼ぶ…。トリックの名手が贈る会心のミステリー長編。

●日下圭介(くさか・けいすけ)
1940年和歌山県生まれ。早稲田大学第一商学部卒。1965年朝日新聞社に入社。1975年『蝶たちは今…』で第21回江戸川乱歩賞を受賞。1982年『鶯を呼ぶ少年』『木に登る犬』で日本推理作家協会賞・短編賞を受賞。その後作家活動に専念し、『黄金機関車を狙え』などの近代史ミステリーで新境地を開く。

黄金機関車を狙え

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NEW『黄金機関車を狙え』

日下圭介・著

思わぬ機密の漏洩、前夜の誘拐事件、C53の動輪を止めるのは果たして何者か

 昭和五年正月。経済恐慌のさなか、目前に迫る金解禁に向けて、大阪造幣局から東京日銀へ、二十円金貨十万枚、五円金貨四十万枚、総重量三トン半の金貨の移送が決定された。強奪計画を練るグループと、受けて立つ鉄道省の警護陣。一方で警備担当の子供を誘拐し金貨を狙う一味。様々な思惑が絡み合う中、金貨を満載したC53が東海道をひた走る。金貨の行方は…。近代史サスペンスの大作。

●日下圭介(くさか・けいすけ)
1940年和歌山県生まれ。早稲田大学第一商学部卒。1965年朝日新聞社に入社。1975年『蝶たちは今…』で第21回江戸川乱歩賞を受賞。1982年『鶯を呼ぶ少年』『木に登る犬』で日本推理作家協会賞・短編賞を受賞。その後作家活動に専念し、『黄金機関車を狙え』などの近代史ミステリーで新境地を開く。

神がみの戦場

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NEW『神がみの戦場』

日下圭介・著

緊迫する国際情勢の陰で次々と起こる不気味な殺人事件……交錯する謎を結ぶ糸は何か?

 時は第二次大戦開戦前夜。陸軍中野学校出身の若き士官・鳴海哲也少尉は、登戸研究所に配属になった。なんとこの施設では、蒋介石政権に打撃を与えるべく、中華民国紙幣の贋札製造計画を秘密裡に進めていたのだ。一方、警視庁のベテラン刑事・矢城宗助は、東京湾の第五台場で発見された男の死体を調べていた。はじめは拳銃自殺かと思われたが、捜査を進めていくうち、過去の女給変死事件や陸軍関係者との接点が見えてくる。内閣へも秘匿して進められる陸軍の謀略の行方は…。壮大なスケールで繰り広げられる近代史サスペンス。

●日下圭介(くさか・けいすけ)
1940年和歌山県生まれ。早稲田大学第一商学部卒。1965年朝日新聞社に入社。1975年『蝶たちは今…』で第21回江戸川乱歩賞を受賞。1982年『鶯を呼ぶ少年』『木に登る犬』で日本推理作家協会賞・短編賞を受賞。その後作家活動に専念し、『黄金機関車を狙え』などの近代史ミステリーで新境地を開く。

花の復讐

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NEW『花の復讐』

日下圭介・著

その殺人トリックを暴いたのは現場に残されていた花だった!

 花や鳥や虫……これらには人間の常識では推し量れない鋭敏な感覚と不思議な習性がある。そして人間がこれら自然界の生き物をまったく無視し去るとき、見事に人間は裏切られるのだ。技巧派の俊才が、小さな生物たちを鮮やかな論理のなかに散りばめ、澄明な文体で描き上げた異色のミステリ短編集。

*黒い葬列
*雲雀はなぜ殺された
*花の復讐
*あじさいが知っている
*朝に散る
*蜂と手まり

●日下圭介(くさか・けいすけ)
1940年和歌山県生まれ。早稲田大学第一商学部卒。1965年朝日新聞社に入社。1975年『蝶たちは今…』で第21回江戸川乱歩賞を受賞。1982年『鶯を呼ぶ少年』『木に登る犬』で日本推理作家協会賞・短編賞を受賞。その後作家活動に専念し、『黄金機関車を狙え』などの近代史ミステリーで新境地を開く。

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